岡島課長はまず、食料供給の流れについて、食品製造業や流通業、外食産業、農・漁業などそれぞれの現状について説明を行いました。農・漁業の国内生産額は約13兆円で、輸入額は国内生産の2分の1弱に当たる約6兆3000億円。ここから卸売市場(取扱高約11兆円)、食品製造業(出荷額約31兆円)、食料品流通(小売市場規模約57兆円)、外食産業(市場規模約23兆円)を経由して、消費者の飲食料品支出は約80兆円になるとし、「食品製造業は地域の農林水産業との結びつきなどを反映しています。しかし最近は、スーパーなどのバイイングパワーが強くなり、製造業者などへの優位的地位の乱用が問題になっています」と解説しました。
食料自給率については、昭和35年や昭和40年に比べて大きく減少し、現在はカロリーベースの自給率が40%と6割が輸入に頼っています。自給率が下がってきた大きな要因として、1人当たり供給純食料の推移が昭和35年度に比べて米が減少して油脂や肉類が増加していることをあげました。主要先進国の人口と農用地面積を比べても、日本との差は歴然であることを示し、中・長期的な世界の食料需給を予測しました。
岡島課長は需要面として「2000年に61億人の世界人口が2025年に79億人、2050年には93億人に達する見込みで、将来的に海外へ委ねていることを楽観できません。途上国の生活レベルが上がり、肉類を食べるようになると、穀類が飼料に回されるため世界の耕地面積では生産が間に合わなくなります。日本の円が強いうちは良いのですが、確実に食料不足になります」と予測をたてました。さらに「そのような状況下で食料自給率は50%程度が必要となりますが、現在の40%を50%に引き上げるには、多くの農地が必要となります。日本は平成22年に45%の達成を目指しており、農業サイドも努力しています」と説明しました。
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