JFJ平成19年度第1回勉強会報告
- 「初代代表幹事に聞く」
- 講師:村上紀子会員、インタビュー:村松真貴子会員
- 平成19年7月5日、19:00~20:30
- 於:家の光会館会議室
まとめ:佐藤達夫
平成19年度の第1回勉強会は、「食生活ジャーナリストとは何か」という原点を探る目的で、初代代表幹事の村上紀子会員に、元NHKキャスターの村松真貴子会員がインタビューした。村上氏の話は多岐にわたったが、詳細は勉強会に参加して聞くべきことなので割愛することとし、ここではごく“さわり”だけをご紹介する。
◆新聞記者としての体験談
村上氏は、朝日新聞社に入社後、新聞記者としては珍しく「食専門記者」一筋に25年、第一線で活躍した。政治・経済・社会・外交などの記者がもてはやされる新聞社の中で、料理の作り方から世界の飢餓問題まで、「食」に係わることすべてに、誇りを持って取り組んできたいきさつ等を、熱く語った。
◆JFJ発足をめぐる苦労話
村上氏はこの日のためにわざわざ手作りした『JFJの草創期』と題するファイルを開きながら、JFJ発足時を振り返る。
「食生活のジャーナリストという同じ立場の者同士、共通する課題には協力して立ち向かい、お互いに資質を高め合いたい。同時に会として受信も発信も積極的に」というのが、設立の趣旨だった。
当時(1989年)、官公庁や大企業などからの情報発信は記者クラブを通して行われ、記者クラブに所属していない「食ジャーナリスト」達は、間接的に“一足遅れた情報”を入手するしかなかった。一方、「食の専門記者にこそ食べる側に立つ報道をしてほしい」と望む役人や企業人、食の科学者も多く、JFJの発足は、そういう人たちにも歓迎された。
今は多くの情報をホームページなどから簡単に手に入れることができるようになったので、「受信」の比重が減るなど、JFJの役割は昔とは異なるところもある。しかし、会員同士の自己啓発や、「会としての発信」という発足当初の理念は、これからも掲げ続けていっていいと思う。最近のJFJは、自己啓発はさておき、「発信」の方がやや弱いという印象もある。
食の安全や健康との関わり、食の教育などがかつてないほど大きく取り上げられている時代なので、JFJにとっては追い風が吹いているときだと感ずる。
◆ジャーナリズムとは何か
村上氏がずっと心がけてきたことは、つねに批判の目を持つこと・・・情報をそのまま受け取らず、「本当にそうなのだろうか?」という問いを持つこと。加えて、その情報をいろんな角度から見つめる「複眼的な見方」をすること。それが、真実の追究に、あるいは行政や大企業などの大きな力への監視機能に、つながるかもしれない。
ジャーナリストには、いつでも、だれに対してでも批判ができる自由な立場にいることが必要なので、官公庁や企業とは一定の距離を保つというスタンスも重要になる。取材先の人たちはよく「ジャーナリストは、何の予備知識も持たずに来る」とあきれたり、怒ったりする。私たちは、そのときのテーマについてだけでなく、食生活の問題をあつかう以上は、食の科学、国の食の政策、食の文化などについて、ごくごく基本的な知識は日ごろから蓄えておく必要もある。
これ以外にも、JFJ会員が食生活ジャーナリストとして活動していくためのノウハウや心構えなどがたっぷりと盛り込まれた勉強会であった。また、多くの会員が気になっており(?)誰も聞くことができなかった「村上氏のプライバシー」も、村松会員が巧みにインタビューで聞き出し、村上氏が珍しくほほを染める場面などもあり、役に立つだけではなく大変に楽しい勉強会であった。
なお、村上氏が作成した『JFJの草創期』のファイルは、会に寄付していただいた。発足の準備会から、設立発表会の模様、規約の原案、当初の会員名簿、会報第1号など、貴重な資料集だ。ご覧になりたい会員は、事務局までどうぞ
(○○さんの20年前の写真も見られますよ)。