- テーマ:生協の食品安全・品質管理
- 講師:日本生活協同組合連合会 品質保証本部長 内堀 伸健(うちぼり のぶたけ)さん
- 平成20年9月9日、18:30~20:00
- 於:東京ウイメンズプラザ会議室
- 参加者:24名
まとめ:渡辺百合
コープ商品への信頼を取り戻す試み
今年1月に明らかになった「CO-OP手作り餃子」中毒事故は、組合員だけでなく、一般消費者も漠然と抱いていた「生協商品なら安心」という信頼感が崩れた点において、他の食品偽装事件とは異なる側面をもつように思われる。事件の真相はいまだにはっきりと解明されていないが、その後、日本生協連では製品の安全管理にどのように取り組み、失われた信頼をどのように取り戻そうとしているかについて、話していただいた。
お話を伺ってまずわかったことは、「日本生活協同組合連合会」(日本生協連)が各地域生協(会員生協)を統括して指令を出している組織ではなく、独立組織の会員生協の集まりだということ。いわば、CO-OP商品の卸売業者と小売業者のような関係だという。
また、日本生協連は自社工場をもっているわけではないので、CO-OP商品は外部業者に製造を委託。日本生協連は商品開発と、製造業者の選定を行っている。ただし、生協の全取引高に占めるCO-OP商品の割合は1~2割で、他社商品も多数取り扱っているとのことだ。
今回の餃子問題の検証と今後の対策のために、日本生協連では第三者委員会を設けた。その検証によると、問題発生時の危機管理について①迅速な危機判断や対応ができていなかった、②メディアへの対応に時間がかかり、情報提供のあり方に問題があった、③データ・情報を説明なしに公開したことで混乱が生じた、などの指摘があり、日本生協連に対して以下のような提言があった。①会員生協と連携した「品質保証体制」の強化、②コープブランドオーナーとしての「品質保証体制」の強化、③消費者、組合員、メディア等関係者との「リスクコミュニケーション」の強化、④人命にかかわる重大な危機発生時の「全生協の“司令塔”としての役割・責任」、⑤コープ商品以外の食品についても、健康被害拡大防止のためにイニシアティブを発揮。
この提言を受けての日本生協連の対応について、資料をもとに詳しく説明していただいた。商品開発にあたって原材料の産地評価をどうするのか、6,000種に上る展開中の商品のチェックをどのように行うのか、会員生協と生協連との情報の共有、組合員からの苦情がリアルタイムで全体に流れるシステム作りなど、問題は多々あるが、体制作りに向けて動き出しているとのことだった。
安全体制を作るための費用計画は、情報システム・検査機器等の設備投資に24億円、人件費を含むランニングコストに年間30億円と伺い、会場からは「安心、安全にはコストがかかる、商品価格を上げてもよいのでは?」との声も。独自に展開している各地域の会員生協の司令塔の立場をいかに構築していくかも、今後の課題と思われる。
最後に、生協連と会員生協との関係、取扱商品中のCO-OP商品の割合、食品の安全性をどこでチェックしているのかなどの質問があり、第3回勉強会は終了した。会員からは、食品事故に際してのメディアのあり方を考える声も聞かれた。