- テーマ:築地市場の今
- 講師:東京都中央卸売市場築地市場 場長 森本博行さん
- 平成20年10月14日、10:00~13:00
- 於:東京都中央卸売市場築地市場
- 参加者:24名
まとめ:大森良美
今年度第4回目の勉強会は、築地市場の見学と講演、そして最後にはランチも食べようという豪華3点セット。集合場所は午前10時ちょっと少し前の築地市場正門。平日にもかかわらず、正門前は見学者や買物客などでワサワサと賑わっていた。雑多な雰囲気で賑わう市場を横目に眺めながら、JFJの一行は、古びた建物の中をクネクネと進み、東京都会議室へ。そこで待っていたのが、今回の講師と築地案内の2役をお願いした築地市場の森本場長だ。市場を見学する前に、みっちり1時間、築地市場に関わる様々な話を伺った。
「築地は瀕死の重症にあるー」。取扱量、売上高、業者数、買出人数が減少を続けている築地市場が抱える問題を中心に、築地市場の歴史、そして市場の今後について説明する。
早朝の卸売場は見学者で大人気だ。特にマグロの卸売場の人気は高く、日本に来る観光客向けのガイドブックに築地が紹介されていないものはなく、押し寄せる外国人観光客とその対応に追われた日々を臨場感たっぷりに紹介する。マナー違反も目立ち、生鮮食料品を扱う上では欠かすことのできない衛生管理にも影響を及ぼすことなどから、現在、卸売場は関係者以外立ち入り禁止になっている。そもそも見学する施設として対応していないのが築地の卸売場だ。
もうひとつの築地の人気スポットは、寿司屋などが並ぶ飲食店。長い時は3時間待ちの店もあるほどの繁盛ぶりだ。今でこそ行列のできる店になったが、この現象はここ数年のもので、かつては買出人の減少で「閑古鳥が鳴いていた時期さえあった」という。
海外から注目される魚食普及、使い勝手の悪い市場、転送されていく荷物の多さ…森本場長の話題は多岐にわたった。そして、移転問題。築地市場はすでに豊洲への移転が決定しているものの、土壌汚染問題もあり、現在地再整備を望む声も多い。大阪市場は現在地での再整備を行った。築地もかつては現在地で再整備を行うことが決まっていたが、この土地で再整備をすることは「無理」と言い切った。終始築地市場の厳しい現状を語っていたが、瀕死の重症である築地市場にも「努力している人はたくさんいる」と締めくくった。
講演のあとは、森本場長の案内による築地市場見学だ。マグロの卸売場や飲食店や物販店など約140店舗が軒を連ねる魚がし横丁、青果売場などを見て回り見学は終了。後は楽しいランチタイムを過ごした。