「揺らぐ地球温暖化の『科学』」

・講 師:杉山大志・キャノングローバル戦略研究所・研究主幹
・進 行:小島正美(食生活ジャーナリストの会代表)
・会 場:東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール(文京区弥生1-1-1)
・参加者:25人
・文 責:小島正美

講演要旨
 世の中の通説では、地球温暖化の最大の要因は化石燃料を燃やすことで発生する二酸化炭素の増加だと言われていますが、本当に確固とした科学的根拠はあるのでしょうか。「このままだと地球の生態系は破壊され、待ったなしの状態だ」という物語が誕生するとメディアはその物語に沿って取材したり、ニュースを流します。しかし、そこにはメディアにとって都合のよい材料だけを選んで伝える「確証バイアス」があるのではないでしょうか。
 たとえば、北極圏に生息するシロクマは増えています。これは間違いのない事実です。確かに地球の平均気温は上がっています。東京では過去100年間で約3度上がりましたが、東京での農業はそれに適応し、特に困った事態は生じていません。地球全体で気温が上昇していると言われていますが、2000年~2013年は二酸化炭素が増えたにもかかわらず、気温上昇は停滞(ハイエイタス)しています。
「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)による予測は不確実性を伴い、気温上昇の予測にも幅があります。最悪を想定して二酸化炭素排出を削減したとしても、はたして温暖化が止まるかどうかはよく分かっていません。豪雨や森林火災などは昔からあり、水害も増えているように見えますが、水害による死者は戦後、激減しています。こういう災害と温暖化は無関係だという科学的な言説もありますが、そういうニュースをメディアはなかなか伝えません。二酸化炭素の削減自体は必要でしょうが、それは技術開発で対処すべきで、経済活動を縮小させてまで行うほど温暖化のリスクは差し迫った危険状態とはいえません。

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