テーマ:「地産地消」を検証する
~その可能性と限界、そして食生活ジャーナリストにできることを探る~
2009年1月25日 於:東京ウィメンズプラザ
パネリスト: 松下 雅雄 氏 JAはだの代表理事・組合長
廣田 正 氏 株式会社菱食 相談役
五明 紀春 氏 女子栄養大学教授・栄養学部長・農学博士
コーディネイター: 佐藤 達夫 食生活ジャーナリストの会代表幹事
■第1部 パネリストによる講演
- 松下雅雄氏 「地産地消」に取り組む実践報告
「はだのじばさんず」という直売所を設置。農薬使用の基準を守り、栽培暦をつけることを前提に、農家が自由に栽培、販売できるようにしたところ、好評で年間売上9億円になった。地産地消は農業を守り、自然を守ることにつながる。それが市民の幸せにする。 - 廣田正氏 「食品流通を新しいステージへ導く地産地消のうねり」
日本国内だけで1億2800万人の食料を調達することはできない。農業の活性化に努めながら、世界の適地から安定的に供給する仕組みを構築することが課題だ。産地と消費地とのコミュニケーションがとりやすい地産地消という動きは、日本の食品流通が新しいステージにきていることを示す。これを本流にしながら、海外との公正な取引関係を結ぶことが使命となる。 - 五明紀春氏 「栄養学から見た地産地消」
その土地のものを食べるという空間的地産地消と、伝承食物を利用し食文化を活かす時間的地産地消がある。栄養学的には、ご飯を主食とした定食ものが日本人の健康を守る。食の様式、食文化は装飾ではなく、健康や寿命にとってセキュリティシステムとなっている。
■第2部 ディスカッション
- 「食の安全」や流通の経費をめぐっての質問、意見が多かった。JAの抜き打ち検査実施、流通の適正マージン、安全のために必要なコスト、消費者が経験に裏付けられた判断の目を養う機会等、様々な視点で議論された。
“自分たちの食べものを考えるキャンペーン”という位置づけで、地産地消を多角的にとらえることの重要さを確認したといえよう。