食関連情報を発信する記者、編集者からなる「食生活ジャーナリストの会」(畑中三応子代表幹事、会員数約130人)は15日、「2023年食の十大ニュース」をまとめ、発表しました。1位には 「今年も続く、記録的な食品値上げラッシュ」が選ばれました。
「食品値上げラッシュ」は昨年に続き1位となりました。円安がさらに進んだことが要因です。このほか記録的な暑さや鳥インフルエンザ発生の影響もありました。8月には、福島第一原子力発電所の廃炉作業に伴うALPS処理水の海洋放出に対し、中国などが日本産水産物を禁輸措置としたことから、国内外の水産関係者に大きく影響しました。
今年5月、新型コロナウイルスが5類に移行したことから、足かけ4年にわたる自粛生活も終息した一方、感染予防意識が薄れたのか食中毒事件が相次ぎました。また、食料・農業・農村基本法を20年ぶりに見直すこととなりました。その議論の中心テーマは食料安全保障です。細胞培養やゲノム編集など、フードテックの開発スピードも加速しました。しかし、反対運動も見られ、新技術が浸透し恩恵を受けるまでにはまだ時間がかかりそうです。
食の十大ニュースの順位は以下の通りです。
① 今年も続く、記録的な食品値上げラッシュ
② ALPS処理水海洋放出、水産物輸出に深刻な影響
③ 異常気象続き農業生産に打撃、漁場激変も
④ 弁当やマフィンなどで食中毒が発生、話題に
⑤ 食料・農業・農村基本法、20年ぶりの見直しへ
⑥ 機能性表示食品、科学的根拠不十分で大量撤回
⑦ 海外でも和食ブーム、ユネスコ無形文化遺産10年
⑧ コロナ5類移行で飲食店に活気、インバウンドも復活
⑨ 代替肉、ゲノム編集魚などフードテックが進展
⑩ 米粉利用拡大へ政府支援、食料安全保障見据え
十大ニュースの選考基準は▽会員の投票数▽各種メディアのニュースに登場した頻度▽歴史的観点から見たニュースの価値・重要性――の3点です。