・演 題:ジャーナリストに知ってほしい 国産ジビエの〈今〉
・日 時:2024年1月24日(水)19時~20時30分
・講 師:藤木徳彦(一社)日本ジビエ振興協会代表理事
鮎澤 廉(一社)日本ジビエ振興協会常務理事・事務局長
河戸建樹 わかさ29工房代表
・進 行:畑中三応子
・参加者:会場参加21名、オンライン参加25名
・文 責:畑中三応子
**************
一般社団法人・日本ジビエ振興協会代表理事の藤木徳彦さんは、第6回食生活ジャーナリスト大賞・食文化部門の受賞者である。2022年5月の勉強会では、「衛生管理に関するガイドライン」と「国産ジビエ認証制度」、ジビエ肉の処理と衛生的な調理を中心に話していただいた。
国産ジビエの〈今〉をテーマに、日本ジビエ振興協会の皆さんを招いた今回の勉強会は、三部構成で行った。第一部ではまず藤木さんが、ジビエ振興のこれまでと最新の動向を説明。2021年の野生鳥獣肉の食肉処理施設は、家畜肉と場の約5倍、約810施設もあるが、その7割が年間処理数50頭以下の小規模施設であること、大手外食企業や社員食堂での活用も増えていること、国産ジビエ認証施設の連携による国産ジビエセンターが長野県で稼働していることなど、新しい情報を知ることができた。
第二部は、日本ジビエ振興協会事務局長の鮎澤廉さんが、ジビエの取り扱いと衛生管理に関わる法律・制度について解説した。捕獲したあとの放血、洗浄、解体を経て枝肉になるまでの流れが詳しく示され、いかに衛生が重視されているかが具体的に理解できた。
食べるときは、肉の中心温度75℃、またはそれと同等以上の加熱が必須だが、まだ多くの飲食店では生・半生で提供されている。「生食用ジビエ」を販売する通販サイトも少なくない。ジビエを衛生知識を、もっと広く周知させる必要を感じた。
第三部では、年間3700頭を処理している鳥取県の施設「わかさ29工房」代表の河戸建樹さんと藤木さんのクロストークで、ジビエ捕獲と処理のさまざまな話題が上がった。工房は1年365日稼働。猟師が持ち込む全頭を受け入れ、骨・革・内臓を含め8割を利用することで残渣を減らし、利益率を高めることに成功している。
川戸さんは、施設運営の現状、販売や利益率に拡大の工夫などを紹介し、「猟師さんたちのための施設だと心がけること」「処理数を向上させること」が施設運営のポイントだと話した。
最後に藤木さんが「今後のジビエ振興には、正しい知識を消費者に伝えるためにも、よりいっそうメディアの皆さんのご協力を」と呼びかけ、閉会となった。
日本ジビエ振興協会代表理事の藤木徳彦さん
日本ジビエ振興協会事務局長の鮎澤廉さん
「わかさ29工房」代表の河戸建樹さん
川戸さんと藤木さんとのクロストーク