「食と“うんち”と健康と」の報告

  • テーマ:食と“うんち”と健康と あなたの「腸」は何歳ですか?
  • 講師:(独)理化学研究所・知的財産戦略センター 辨野特別研究室室長 辨野義己氏
  • 平成21年6月22日、18:30~20:00
  • 於:東京ウィメンズプラザ会議室
  • 参加者:25名

まとめ:大森良美

きょう、あなたはどんな分身と遭遇しましたか・・・?
分身とは “うんち”のこと。平成21年度第2回勉強会のテーマは、ズバリ“うんち”。どんな“うんち”がいいのか、そもそも“うんち”って何?腸年齢の実態、腸内常在菌とは、疾患との関係は?理想的な“うんち”を得るにはどうしたらいいの?などなど。内容はギュッギュッと凝縮した濃いものとなり、辨野義己氏の優しく語りかける口調にグイグイ引き込まれていく。“うんち”がテーマということで、何となく照れもあるが、「いまは羞恥心がなくなった」と語った辨野氏の微笑んだ表情自体にも、照れが見えた気もした。

腸にも年齢がある

東京・大阪の20~60代600人を調査したところ、腸年齢が実年齢よりも若く理想的な人は38.5%だった。実年齢が若い人ほど実際より老化しており、肥満の人、ストレスが多い人は腸年齢の老化が進行している。腸年齢が若い人ほど腸の健康に気づかう傾向にあり、肌や脳の衰えを感じることが少なく、脳の老化現象も顕在化しにくかった。

うんちと腸内常在菌

理想的なうんちは、バナナのような形でゴツゴツした食物繊維がついたもの。水に浮き、繊維が見えて、ストーンと出るのが良い。うんちの主成分は、その80%が水で、固形物はたった20%。そのうち30~40%が生きた腸内常在菌で、30%がはがれた腸粘膜、そして残りが食べかすだ。腸内細菌は食べかすと粘膜をエサにしている。糞便1gに約1兆個の細菌があり、腸内常在菌は1,000種類。その総重量は約1kgになる。腸内常在菌には、酸素があると生育できない嫌気性菌が1,000億以上あり、生育に酸素を必要とする好気性菌は1億以下だ。

腸内環境データベースの構築

日本人の食生活が変わることで、病気の種類も変化してきた。大腸は病気の発信源で、大腸ガンは偏った食事や運動不足が原因となる。辨野氏は腸内環境データベースを構築し、腸内常在菌検査を含めた新健康診断法の確立を目指している。腸内常在菌の全容を解明し、腸内常在菌のデータベースで健康診断をするのだ。「みんなが知りたいことはいまの食べ物でいいのか。管理栄養士が機能的に働ける環境を作り、夢は食べ物で病気を予防し、その人にとって何がいいのかを、検査を通じて言えるようにしたい」と語る。腸内環境のコントロールは、病気リスクの軽減に繋がる。

理想的なうんち~3つのうんち力~

3つのうんち力とは「うんちをつくる力」「うんちを育てる力」「うんちを出す力」。理想的なうんちは、

  • 硬さ:ほどよい
  • 臭い:あまり臭わない。やや酸っぱい
  • 色:黄色~黄褐色
  • 重さ:300グラム以上
  • 長さ:20センチ前後
  • 太さ:バナナ大

臭いおならは危険信号。トイレに行ったら、うんちを見ること。便所とは体からのお便りを受け取る所=お便り所。理想的なうんちを出すために、食生活を考え、私はコレを食べると出るという武器を持つことも大切だ。

辨野氏から、最後のひと言―、
「明日の朝、素晴らしい分身に遭遇されますように」

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