「フードコラムニスト・門上武司の視点」の報告

・日 時:2017年5月16日(火)18:00~19:30
・会 場:エコール 辻 大阪1階:カレッジホール
・参加者:24名
・まとめ:小山伸二

当日は、門上武司氏に半生を振り返っていただき、フードコラムニストという新しい仕事がどういう経緯で生まれ、その後、仕事としてどんなふうに展開したのか、じっくりとお話を聞くことができた。

■フードコラムニスト「門上武司」誕生
1952年大阪生まれで、大阪外国語大学露西亜語学科在学中より、百貨店などの商業施設でのセールスプロモーションなどの業務に従事していた。
そこで、関西でのイベントに東京からやって来る作家、ミュージシャン、クリエイターなどの著名人たちとの出会いがあった。20代のとき、仕事関係で出会った、著名人たちに関西のレストラン情報を提供するうちに、人に「食」を紹介し、ときに食事を一緒にし、会話することで生まれる人間関係を通して「食文化」の持つ豊かな力を実感し、徐々に、「食」の世界に興味を持ち、本格的に勉強しようと思った。
80年代、東京のメディアでは、山本益博、見田盛夫といった「レストラン批評」と呼ばれるような仕事をする人も登場してきた。当時、門上さんも、関西に拠点をおいて、映画や音楽のように、食の分野で原稿が書けたらと思い、徐々に雑誌でフードコラムニストとしての活動も始めることになる。

■独立して「食」の仕事を展開
1980年代後半になると、毎年のようにフランスにもレストランの調査に出かけるようにもなり、徐々にフードコラムニストとしての仕事も本格化していった。
しだいに、食関連の仕事が増えてきて、39歳のときに独立を決意。
「ジオード」という会社を立ち上げ、コラムニストとして原稿を書くだけではなく、編集、食イベントの企画・プロデュース、テレビやラジオのコメンテーターと、仕事の幅は広がっていった。
関西だけではなく、全国の料理人たちとの交流、食材の生産者との交流は、さまざまな地域での食イベントのプロデュースなどにも展開している。

■メディア人として「場作り」を自分の仕事に
いま、大事にしていることは、ジャンルを越えた料理人、生産者、あるいは研究者などとの交流の「場」を作ること。ラーメン屋さんから各種専門料理、料亭の料理人まで、食材の生産者、さまざまなモノ作りの職人さんたちなど、守備範囲も広い。
食の世界において、料理人、生産者、研究者、メディア人など幅広いネットワークを作り上げ、技術の研鑽のための勉強会や、研究会、交流会など硬軟とりまぜた学びと交流の「場」を作っている。
そもそも違うジャンルの方々、分野違いの方々を掛け合わせ、混ぜ合わせることで生まれる新しい「価値観」を生み出していくこと。メディア人として、そうした「場」作りを今後ともやっていきたい、と締めくくられた。

当日、お話を聞いていて、講演のタイトルでもあった門上氏の「視点」とは、単に食の現場を取材して、単なる紹介に終わらない、むしろ生産から消費までの「食」のさまざまな分野のひとたちを繋ぎ、交流する場作りに取り組むことで鍛えられた「食」を大きくとらえることができる視点なのではないだろうか。

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