近藤卓志氏(JFJ 会員)
厚生労働省が発表した国民栄養調査では、日本人の1日あたりの野菜・果物の摂取量は野菜274g、果物137gで、目標である野菜350g、果物 200gには遠く及ばない。
一方、米国では1990年ごろから「5 A DAY」運動が活発に展開され、わずか10年間で摂取量2割増を達成し、米国民の健康生活に大きく影響した。この成果のポイントは、青果業界が一致団結したことと、連邦政府・州などとの官民一体の取り組みが挙げられる。
この情報はすでに世界へ発信され、同じような取り組みをしている国は13か国に上っている。
そして、平成13年10月、ようやく日本でも青果業界が連携し、日本版「5 A DAY」の取り組みがスタートした。集まったのは全農、青果卸会社、種苗会社、大手量販店、食品メーカー、外資系生産者団体、商社、青果専門小売店組合などだ。また、農水省や野菜基金などもオブザーバーとして参加した。
ところが、何度か会議を開催していく中で、運営の方法について意見が分かれる場面があった。特に、外資系生産団体は国内ですでに「5ADAY」の取り組みをスタートしていたという事情もあり、国内の生産者団体あるいは卸売会社らとは意見が合わなかったようだ。
当時はセーフガードの問題もあり、輸入VS国産という構図も根底にあったことは否めないだろう。やむなく外資系の生産団体は独自に組織を立ち上げ、運動の展開をスタートさせたのが「5 A DAY 協会」である。また、残ったメンバーらで発足したのが青果物健康推進委員会である。両団体はそれぞれ農水省からの補助金を交付され、運動を展開しているが、前者は米国の運動をそのまま日本でスタートさせ、後者は日本の食生活に合わせた「ベジフルセブン」というプログラムをスタートさせている。
農水省でも国立がんセンター、日本医師会、国立栄養・健康研究所などの研究者と、両団体で構成する野菜等健康生活協議会を発足させ、官民一体の取り組みをスタートさせた。
今後の運動を注意深く見守っていきたい。