栄養教諭ってなんだろう

文部科学省青少年局学校健康教育課学校給食調査官 金田雅代氏

 日本では「学校給食がテーマになれば、その場にいるすべての人が話に参加できる」といわれています。それほど学校給食の普及率が高いのです。その分、学校給食は日本人の食習慣の形成に大きな影響を与えているといえるし、日本人の健康を大きく左右するといえるでしょう。
 昭和30年代、40年代に学校給食を経験した人たちは、現在の学校給食を見る機会があると、ほとんど全員が驚きの声を上げます。「すごくぜいたくな給食を食べてますね」という感想が多いのです。でも、これは不思議ですね。子供たちは、栄養豊かで、おいしくて、日本のすばらしい食文化を反映した給食を食べるべきだと、私は思っています。学校給食にもっと理解を持ってほしいのです。
 今、日本では生活習慣病が急増しています。食習慣の乱れが健康を害しているのです。「食」に関する教育は、子供の時にきちんとすべきだと思います。それには学校給食の場がもっともふさわしいでしょう。
 学校では、教科として栄養や食習慣などを学び、給食の時間に食事としてそれを体験するというのは、すばらしい教育の方法だと思います。さらに、子供たちがその成果を家庭に持ち帰ることによって、家庭の食事も改善するという波及効果も期待できるのですから、まさに総合的な実践教育だと思います。
 その中心的な存在として、学校栄養職員に期待が集まっています。学校栄養職員に教員の役割を担ってもらおうというのが「栄養教諭」です。現場では、まだ必ずしも充分な理解が得られていないこともありますが、21世紀は栄養教諭の出番がますます多くなることは間違いありません。若いかたたちが、大いに参入してくださることを期待します。

(まとめ:佐藤達夫)
2001/03/20 第11回JFJ公開シンポジウム 21世紀の「食」の仕事より