これからの日本農業の行方

JA東京青壮年組織協議会顧問 高橋金一氏

 東京で植木農家をやっている高橋です。学校を卒業してすぐに、父親がやっている農業を手伝いはじめました。そのころ、自分が作った野菜を線路脇で売っていたのですが、あるときお客さんの一人から「お宅で買ったブロッコリーをうちの子供が食べたのよ。ブロッコリーが大嫌いで今まで一度も食べたことがなかった子なのにね。本当においしかったのね、ありがとう」といわれた一言が忘れられなくて、ずっと農業を続けています。
 「地産地消」という言葉があります。その土地でできたものをその土地の人が消費する=食べるという運動です。これは、単に安全な野菜を食べられるという観点だけではなく、身の回りに農地を残しておくとか、消費者と生産者が接する機会を増やすという意味からも考えてほしいことです。
 農家にとってもっとも大事なのは消費者です。消費者にはもっと農業に関心を持ってもらいたいと思っています。今は、インターネットのホームページを見れば、居ながらにして大量の情報が手に入ります。日本の農業を理解するために「JA」「地産地消」「グリーンツーリズム」「スローフード」などというキーワードを足がかりにして、インターネットで検索してみてください。日本の農業に関するさまざまなことがわかってくるはずです。
 マスコミに身を置く人も、政府の予算が(つまり私たちの税金が)どのように使われているかを、しっかり監視してください。私は日本の農家がもっともっと元気になるようなお金の使い方をしてほしいと思っています。
 農業は「命」を扱う仕事です。人間が豊かな気持ちで暮らすために欠かせない仕事です。21世紀になっても22世紀になっても、すばらしい環境が残っているように、土地や地球やそこに住む人たちを大切にしていかなければなりません。生産者がそんな誇りを持ち続けられるような農業を続けていきたいと思っています。

(まとめ:佐藤達夫)
2001/03/20 第11回JFJ公開シンポジウム 21世紀の「食」の仕事より