21世紀は食への挑戦である

イオン(株)幕張本社SSM商品本部農産商品部部長 藤井滋生氏

 流通を取り巻く消費者の食生活の現状は、ライフスタイルの変化なしでは語れません。女性の社会進出、産業構造の変化とあいまって、団塊ジュニアが成人し、ファミリー化したことも変化の要因でしょう。この人達はマヨラー、ケイタイ世代などの流行語を生み出した世代でもあります。
  数字から食の変化をみると、量と価格の点では野菜や果実の価格は変わらず、消費量は右肩下がりとなっていますが、その反面、カット野菜やカットフルーツが簡単、便利ということで伸びています。
  時間的な面では、買物時間の変化があります。夕方に主婦が買物をするというスタイルがくずれ、仕事やレジャーのあとの夜に移行しています。営業日も365日体制にならざるを得ません。
  昨年は食の提供者への消費者の信頼が大きく揺らいだ年でした。この問題については、私達は、第3者による監査と認証が必要であると考えていますが、まず、自分達が正直であるために、消費者への情報公開を実践に移しました。
  未来へ向けての取り組みとしては、安全、環境、地域との関わりが柱です。消費者が求める簡単、便利な食材を提供する一方で、生産者の顔が見える商品を提供する。環境問題には、地域循環型農業の生産品を積極的に扱うことで対応し、結果として地域の活性化に役立つこと。隠れた食のアルチザンを発見し、紹介すること。すなわち、スローライフとファーストライフ、地域とグローバルの調和をはかることです。
  食の創造イコール人の創造ではないでしょうか。若い世代の食の貧困の問題は、より若い世代に食の歓びを知ってもらうことで、夢のある未来が開けてくるでしょう。

2003/02/19 第12回JFJ公開シンポジウムより