食の外部化、世代間の差へどう対応するか

日本水産株式会社食材商品部部長 渡部祐人氏

 この1〜2年、BSEや食品表示問題などで食品業界には大きなダメージを受けたところもありますが、幸い、魚に対しては健康志向やお魚ソングの人気などの追い風もあって、あまりその影響はありません。とはいっても、国際的に水産品への購買力が高まる中で、日本の家庭における魚介類への支出は25年前のレベルにとどまっています。本日のテーマである若者世代の食への関心あるいは無関心を、食への支出動向から考えてみましょう。
  ある調査によると、20代の若者世代ではレジャー、住居、耐久消費財への支出が増え、50代の中高年は温泉好きでローカル食に興味をもっているという結果があります。購入する食品別に見ると、20代では肉、油脂、卵などの購入額が高く、60代ではくだもの、海草類、魚介などです。食マップでみると、若者層にはぞうすい、みそラーメン、にぎりずしなど外食で食べるものがよく登場し、年齢が進むにつれて従来の家庭料理のメニューが多くなります。それでは、二つの世代に食の共通点があるのでしょうか。
 例を挙げると、若者の間に、通常魚介は食べないが、おにぎりの具になれば何の抵抗もない、伝統的な日本の食品である納豆が人気があるというように、世代を超えた価値観の一致する食べ方があるのです。よく「食は保守的である」と言われますが、異なる層の、異なる価値観によって受け入れられるものがあるということで、私たち生産者は価値あるものと認められる商品を提供しなければならないと思っています。

2003/02/19 第12回JFJ公開シンポジウムより